「やってみっか」、高齢者(※自称)による起業の試み?!
◆事業のご紹介
「里山を、より豊かに美しく」「なんでも、やってみっか」がモットー。
事業コンセプトは3つ。
①里山の「価値」を探索し、販売する。里山に、まだ気づかれていない価値はないか探求。
②里山の「景観向上」に貢献。特に、荒廃竹林に悩む方を助け京都のような美しい竹林へ。
③自分の「得意」(筆耕、代筆、添削)で、社会の担い手に。
2011年に定年退職・帰郷。畑も作れない程に荒れた竹林に困り果て、竹と向き合ったことが始まり。「起業」「創業」の単語は、当初、全くアタマには無く。竹の伐採・焼却に汗する毎日のある日、隣のおじさんの一言から、炭焼き名人(※自称)への道を歩み始めることに。
竹の種類は孟宗竹。温暖の地で育ち、寒さや雪が苦手な品種。そんな孟宗竹がこの地で踏ん張って生きていることから、「北限の竹」と名付ける。その「北限の竹」を使った竹炭シリーズ商品や竹工芸品は、ふるさと納税返礼品にも選ばれている。
通常の主な販売先は、町内の物産館や土産センター、JA直売所など11箇所、ホームページのオンラインショップでも販売中。
◆QandA
―竹炭を使っての起業は、退職を機に考えられたのでしょうか?
「起業」という言葉は全く頭に無かったんですよ。定年退職を機に、実家に住もうと
思って戻ってきたんだけど、竹の地下茎が伸びていて畑も耕せないくらいに竹林が
荒果ててね。床下から竹が古い家の天井を突き破るくらい、ものすごい状態だった。
「これは何とかしないと!」と思って、数か月間、竹と格闘の毎日でした。地下茎を
掘り起こしたり、切って燃やしたり。
何か月も続けていたら、隣のおじさんが「何すてんだぁ?」って様子を見に来まして
ね。あんまり荒れているから竹を燃やしているんだと話したら、「勿体ねぇ!竹炭に
でもすたらえがっぺ("勿体ない、竹炭にでもしたらいいだろう"の意)!」と言われて。
なるほどね、と思って試してはみたんだけど、なかなか簡単には出来なくて。
ある日、何気なく、30㎝くらいのお菓子の缶にポイッと竹を入れて燃やしてみたらば
竹炭ができたんですよ!だけど、焼きムラがあって満足はしなかったの。そこから試行
錯誤の始まりですよ。薪ストーブで試してみたり、ホームセンターでアレコレ物色して
は道具を試作したり。
だんだんと竹炭の具合がいい感じになってくると、今度は、一度に作れる量を増やし
たくなってね。だけど、作った竹炭で商売しようなんて考えは全く無かったんですよ。
―竹炭製造にハマっていったのですね。竹炭を売るようになったのは、いつから?
お菓子の缶で竹炭を作ってから3年くらい経ってですかねぇ。2015年の宮崎地区の「
陶芸の里 春祭り」に出展しました。竹炭がいっぱいになってきたから皆にも使って
もらおうかな、と軽い気持ちで出してみました。
その時も、まだ「商売」にするなんてことは考えてなかったもので。1~2㎏の竹炭を、
利益も何も考えず100円で販売しましたね。買って頂いた方達から、「安過ぎる!」と
叱責(?)されました(笑)。
―竹炭を「商売」にと考えたキッカケは、どんなことだったんですか?
出展したお祭りに、加美町町長も来場していましてね。「薪ストーブを使って竹炭を
作っているんですよ!」と冗談混じりにPRしましたら、「それは、いいね!」と興味
を示して、町の起業者育成支援というのがあるから受けてみなさいと勧められました。
だけど、その場限りの社交辞令みたいなものだろうと思っておったのですよ。
ところが、本気だったんですね~。一応、役場に行ったら、支援を受けるためには「
事業計画書」を作る必要があるからって、書類を渡されて。内心、「え~!」と思い
ながらも修正に修正を重ね提出に至り、町長との面接も通過してしまい、助成金を頂く
こととなりました。これが、商売を意識したキッカケですかねぇ(笑)。
助成金を受け取るには、きちんとした実績報告が必要ということで、経営について勉強
を始めました。
―勉強はどのようにされたんですか?
起業についての書籍を読んでみたり、仙台にある「アシスタ」という起業支援センター
に行ってみたり。そこの起業セミナーにも参加しました。
町の支援が終わってからは、商工会主催の「事業計画を考えよう」というセミナーにも
参加しました。
―色々と勉強されて、本格的に起業という形をお考えになったのでしょうか?
商工会主催セミナー終了後に、そんなつもりはなかったのに、今度は小規模事業者持続
化補助金の申請書類を渡されてしまいました(笑)。
「申請者の7割は落ちるから、期待しないで。」と言われながらも、またもや何度も修
正に修正を重ね、やっとの思いで提出にこぎつけました。「あぁ、ヤレヤレ。終わった
。」と書類を提出して終わりだろうと思っておりましたら、こちらも採択されまして。
「これは、真面目にやらないといかんなぁ。」と責任感が芽生えてきました。
こんな感じに、外堀から埋められたような流れで起業に至ったと言いますか。色々な
方達と知り合い、ご支援頂きました。ありがたいことですねぇ。
厄介者の竹が「商品」となり、いつしか荒廃竹林を京都なみの美しい竹林にしたいとい
う夢もできました。
―補助金・助成金は、どのようにご利用されたのでしょう?
製品づくりの試行錯誤が主で、あとはホームページやネットショップ開設ですね。「か
みや姫」というマスコットキャラクターのデザインにも使わせて頂きました。ホームペ
ージや名刺・チラシ等に掲載しています。竹と言えば「かぐや姫」、加美町だから、掛
け合わせて「かみや姫」。いいでしょう!?(笑)
―竹加工販売の他に、文章校正や筆耕もされているんですね。
どのような経緯だったんですか?
サラリーマンだった頃、同じ職場のおばちゃんに・・・失礼、先輩から「下手だねぇ。
」と言われたことをキッカケに、書を学び始めました。35歳頃でしょうか。当初の
目的は、年賀状の宛名を格好良く書きたいことでした。
学び続けることで、目も肥えてきたのでしょうね。自分では未だに納得いく出来具合に
達していません。
サラリーマン時代からの経験で、文章を書くことや添削することは得意ですので、これ
も販売してみようと思いました。そんなに沢山ではないですが、色々な所からお問い合
わせやご依頼頂いています。
―alataとは、どのように出会ったのでしょう?
「アシスタ」のセミナーで伊藤さんという方と出会いまして。「古川にも、alataとい
う起業支援している施設がありますよ。」と教えて頂き、会員になりました。
無料のセミナーは助かりますねぇ。
―これから起業をお考えの方々に向けて、お願いします。
私の起業は、たまたま、こうなったという感じですが。波多野卓司先生(※大崎市内在住
中小企業診断士、コンサルティング事務所代表)の著書にありますように、「リスクは小
さくスタート」することをお勧めします。私の場合は、家計に手をつけない範囲として
います。いきなり、大きなものを目指すのではなく、小さな成功を達成できるよう進め
ていくことがいいと思います。起業してすぐにフル稼働とするより、週末だけ行ってみ
るとかね。
それから、時間の都合が付けられるのであれば、色んなセミナーに出てみることも勧め
ます。無料や低料金のセミナーも、結構ありますしね。何度も参加してみると、大事な
キーワードが判ってくるんですよね。そのキーワードに沿って、また自分なりに本とか
で勉強してみる。効率悪そうですが、実はこれは効率が良いと思います。